「眼鏡屋のひと手間。」
予告どおり、
前回の「眼鏡屋のしごと。」に引き続き、
今回は、「眼鏡屋のひと手間。」ということで、
レンズの歪みについて少しお話してみようかと思っております。
こういう専門的な話って
あまり面白くないと思いますので、
興味ない方はスルーしてください!
まぁでも、けっこう大事なことでもありまして、
たまには眼鏡屋の裏方作業を知る機会という意味でも読んでいただけると嬉しいですね。
長いのでお暇なときにでもどうぞ。。
レンズの歪み。
極端に歪んだレンズの眼鏡を掛けていると、
レンズ度数やその他レイアウトが正常であっても、
視野に違和感を感じます。
全体が何となくグニャっとして感じるような、
何とも言えない気持ち悪さを感じたり。
視野に影響が出るように、
歪みはレンズ自体のダメージです。
レンズのコーティングが剥がれ易くなったり物理的なダメージもありますが、
場合によっては、そのレンズを収めるフレームに影響が出てくることもありますので、
出来るだけ歪みは取り除いたほうが良いのですが、
完全に取り除くことは正直なところ不可能なんです。
レンズの歪みは圧力によって発生します。
ですから、フルリムのフレーム(レンズをフレーム枠で覆っているデザイン)にレンズを入れる場合、
枠がレンズを抑えていることになりますので、多かれ少なかれ、レンズは歪むのです。
そんなわけで、歪み全てが悪いということではなく、
許容範囲内の歪みと、そうでない歪みがあり、
その範囲を超えた歪みについてはしっかり除去してあげる必要があるということなんですね。
歪みが完全に無い状態というのは、レンズに圧力が全く掛からない状態。
つまり、フレームの枠よりもだいぶ小さいレンズであれば圧力はかかりません。
しかし眼鏡は、レンズの淵にヤゲンという山をつくり、
フレームの内側に掘ってある溝にそのヤゲンを噛ませることで収まっています。
レンズを小さくしてしまえば、そのままスッポリ抜けてしまうのです。
レンズを大きく削り過ぎると歪み、
小さく削り過ぎるとフレームから外れてしまう。。
大き過ぎず、小さ過ぎない適度なサイズに削るわけです。
また、フレームのカーブとレンズのカーブが極端に違っていても歪みを起こしてしまうので、
フレームカーブとレンズカーブを測定し、
適切なカーブを見抜ぬかなければいけないこと。
それと、フレームに合った適切なサイズを見抜かなければいけないこと。
まずこの2つが歪みを生まない為の前提です。
見抜くというのが1つのポイントです。
今はマシンを使ってこれらを測定し、
それにぴったり合うようにレンズを削り出すことができるのですが、
数値上と実際のサイズがぴったりということはほぼ無いと言ってもいいです。
コンピュータが出した測定結果のまま削り、
フレーム枠に入れようとすれば、歪んでしまうということがほとんどでしょう。
ですから、予め目測によってカーブを読み、
そのときに使うレンズに対してどれくらいのサイズで削るのか、
コンピュータの測定と目測、その両方の結果を擦り合わせて決定していきます。
これが一発でバシっとハマるとその日1日は気分良く過ごせますw
でもなかなか簡単にはいかない。
削り終えたレンズをフレーム枠にあてて、
大き過ぎる場合は少しけずり、再度確認。
0.05ミリ単位でサイズを変えて確認していくのですが、
たいたい平均して2〜3回は微調整の削りを入れます。
うちの社長はこれをだいたい1発、もしくは1回の微調整で上げてくるので、
その辺りはやはりさすがだなぁと。。。
サイズとしてはだいたい良い。
となればレンズをフレーム枠に入れて、
例の歪みを確認します。
レンズの歪みは外見では目に見えません。
数値で見る事も出来ません。
そこで、偏光板を2枚重ねて光りにかざしてあげます。
こうすることでレンズの歪み視覚として確認することができます。
前回アップした画像と同じ、
油膜のようなモヤモヤが見えますね。
これが歪みです。
数値上から微調整を加えて、
外見上のサイズも問題無いと思っても、
実際にフレームに収めて見るとこれだけの歪みが出ています。
色が濃く見える部分は視野に影響してきます。
これは取り除かなければいけないレベルですので、
更にレンズを削って微調整を加えます。
モヤモヤが消えました。
これで視野に影響が出そうな部分の歪みは取り除いたということになります。
このときは全周を0.05ミリ弱をマシンで削り、
更に四隅は歪みが出易いので、歪みが目立った部分を中心に、
ここは手擦りで落とします。
それでも、、、
丸で囲った部分に線状のモヤモヤが見えます。
先程の油膜のような色味は見えないので、
強い歪みではありませんが、これも無くしてしまいます。
再度、ほんの少しだけレンズを削ります。
消えました。
これくらいごく僅かに削りを入れる場合、
マシンでは不可能ですので、
ここも手擦りで落としています。
こんな行程を経て、
ようやく眼鏡としてお渡し出来るものに仕上がっていくわけで、
「ひと手間」とは言っても、
眼鏡作りには必要な作業であり、本来は基本であるべきこと。
これを「ひと手間」と紹介しなければいけないのは、
それが当たり前では無くなってきていることに対する警鐘でもあるからです。
レンズを加工する行程のことなんて知らない人の方が恐らく多いと思いますが、
我々眼鏡屋の仕事の半分以上は、こうしたお客様の目に触れない部分での地味な作業です。
それが”手間”になる時代でも、その手仕事を省いては成り立たないことがある以上、
コツコツと丁寧に作業しております。
「眼鏡屋のひと手間」は、「眼鏡屋としてのプライド」でもあります。
Optical Inada 稲田眼鏡店
Director いなだ ひろ志
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